【完】純白の花に、口づけを。

◎傍にいて




「じゃあ……和架の親は亡くなってて。瑞希と和架は、依千花さんに育てられたってこと?」



「そ。だから、姉貴だけど和架からすれば母親みたいなもん」



カチカチと、時計の秒針さえうるさく聞こえてしまう。



木霊(コダマ)するのは、さっきまでの千花の言葉で。




「──か。和架」



「……悪い。どうした?」



「いや、体調悪そうだから。しんどいなら、無理せずに寝てくれていいよ」



亜希のその言葉は嬉しいが、今は正直精神的なものだ。



ひとりになったら、思いつめて苦しくなるだけだろう。



それならこっちで気を紛らわせる方がマシだと思うから、このままでいい。



< 64 / 347 >

この作品をシェア

pagetop