魔女の瞳
本人も魔術を行使できるようになった事には喜びを感じているらしく、夕方にランプに灯を灯すのはエリスの役目となっていた。

…ただ、私は彼女に強く言い聞かせる。

「エリス、わかってると思うけど、私の前以外で絶対に魔術を使ったら駄目よ」

「わかってますよ。魔女だって思われるからでしょ?」

…それもあるが、それだけではないのだ。

魔術…いや魔術に限らず魔道というものには常に死が付き纏う。

そもそも魔道自体が人の道から外れた行いなのだ。

人々から忌み嫌われるのは当然の事だし、教会からは『異端者』として扱われる。

この時代の『異端者』とは、悪魔とほぼ同義だ。

まあそれはともかく。

エリスは便利な能力程度にしか思っていないようだが、魔術は一歩間違えれば己の身を滅ぼす諸刃の剣なのだ。

もしエリスが魔力を暴発させてしまった時、彼女は一人でそれを抑え込む術を知らない。

その為にも、絶対に魔術を簡単に使わせる訳にはいかなかった。

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