新選組恋愛奇譚

1章

冒頭

「防いだのかぁ。なかなか出来るようだけど、まだまだ未熟だね。まあ、僕に勝つことができるようには見えない。」

男がニコニコと笑いながら、這いつくばる私を見つめる。

でもその笑顔はぞっとするほどの冷たい。

「要するに相手が悪かったってコト。ご愁傷様。天国、行けるといいね？」

男が刀を振り上げる。

「ちょっとまって！」

男の一撃をなんとか避け、気力でたちあがる。

「なに？僕めんどくさい人は嫌いなの。早く死んでくれない？とってもめざわり。」

男の可愛らしく整った顔に影がさす。

よくもまあ整った顔をここまで歪めることができるのだなぁと私は感心する。

「私は貴方を殺しに来たわけでも、刀を盗みに来たわけでもありません！気づいたら貴方の部屋にいたんです！」

はぁ？と男が呟く。　

「言いたいことはもう終わり？ウソをつくんだったらもう少しマシな嘘をついてくれない？あー、もうウザいから死んで？」　

男が再び刀を振り上げる。

ちょ、まって！こっちだって何が起こったのかわかんなくてビックリしてるんですって！

記憶は昨日の部活中に遡る…