花の名は、ダリア


バイトってなんだ?

働いて、お金を稼ぐコトですよ?
もちろん。

海を越えての放浪には、金がかかる。

でも、誰かサンにスリスキルを伝授する気はナイし。
道端ホームレスライフなんて、もっとあり得ないし。

そんなこんなで、ソージは行く先々でバイトに勤しんでいる。

職場は主にベーカリー。
翌日に売るパンの仕込みをする、夜の仕事だ。

ダリアが言うンだよね。
『ソージの作るクロワッサンは絶品!』
なんてね。

そうでもないと思うケド。

ただ、ヴァンパイアになってから体温が低くて、指先の温度でパン生地を温めずにすんでるだけだと思うケド。

つまり、ダリアが作っても一緒だと思うケド…

ソレは内緒だ。

焼きたてのクロワッサンを持ち帰った時の、ダリアの愛らしいエクボを逃す手はない。

だが今回は、ソージはエクボをおあずけ。

ダリアはクロワッサンをおあずけ。


「…
本当によろしいンですか?」


「イイ加減しつけェよ。」


イーストエンドに着いた翌日、ソージはクララの案内で食肉工場の前に来ていた。

ちなみに今日は、紳士ファッションじゃない。

ステッキは持ってるケドね。

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