花の名は、ダリア

笑う、笑う。

ソージは笑う。

優しく、優しく。

そして、優雅な仕草で腕を持ち上げ、顎を捕らえる男の手首を握って…


「ココの肉みたいに、吊るされて斬り刻まれてみたいの?
この悪臭噴霧器が。」


「ヒっ!?」


甲高い悲鳴を上げた男は、ソージの手を振りほどいて後退った。

取り巻きたちが怪訝な顔をしている。
と言うより、引いた顔をしている。

情けない奴だと思われているかも。

早く、いつもの不遜な態度を取り戻さなければと思うのに…

身体の震えが止まらない。

触れた指の冷たさに、恐怖を感じた。
手首を絞めた圧倒的な力に、恐怖を感じた。

優美なはずの微笑みに、血も凍るような恐怖を感じた。

斬ラレル。
殺ラレル。

この男には敵わない。


「‥‥‥クっソ!
この辺で勘弁してやらぁ!
便器同士、せいぜい仲良くしろや!」


ハイ。
負け犬の遠吠えー。

男は蒼白になりながらも、精一杯虚勢を張ってからソージに背を向けた。

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