花の名は、ダリア

きっとダリアは、責任を感じているのだ。

自分が生み出してしまった『貴族』が、『穢れし者』を量産し続けていることに。

彼女が愛してやまない短くも美しい命を、穢し続けていることに。

あぁ、まじで腹立つ。

腸が煮えくり返るって、こーゆーコトなのね。

彼女を泣かせるのは、俺だけでいいのに。

水をやるのも。
日に当てるのも。
愛でるのも。

もちろん、手折るのも。

俺だけでいいのに。

ダリアという希有なまでに美しい花は、その滑らかな花弁を滑り落ちる雫の一粒まで、俺だけのモノなのに。

負の方向に、とは言え、彼女の心を動かせるヤツが俺以外にいるなんて…


(よし。
ソイツ、爪と肉の間に針をブっ刺して、全身の生皮剥いで、中二病発症時に書いたポエムを音読してやって、色んな意味でのたうち回る姿をバカ笑いしながら観賞した後、斬ろう。)


グっと拳を握ったソージは、とんでもない決意を固めた。

いや、ほんととんでもねーよ?
コイツ。

なんつーオソロシィ拷問プラン、思いついてやがンだ。


「ソイツ、誰なンです?」


ソージはさらにダリアに顔を寄せ、優しく、優し──く微笑んだ。

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