花の名は、ダリア

地獄の中で出逢った、恐ろしくも清らかで優しい花は、彼らの心の片隅に咲き続けるだろう。

枯れることなく、瑞々しいまま、永遠に。

俺だけの花なワケだから、ぶっちゃけソレすら気に入らないケド…
まぁ、ヨシュアなら許してやってもイイ。


「じゃ、俺たちも行きますか。
洞窟に。」


ソージはヒョイと枝を飛び移ってダリアの隣に立ち、彼女に手を差し伸べた。

その手に自らの手を重ねながらも、ダリアは小首を傾げる。


「洞窟に?
ヨシュアたちには、もう会わないわよ?」


「えぇ、会いませんよ。」


「じゃあ、どうして洞窟に?」


「おや、忘れちゃったンですか?」


手を引いてダリアを立ち上がらせたソージは、彼女に優しい、優しーい微笑みを向けた。

コレは…


「言いましたよね?俺。
今すぐ、この場で、ヤらせろください。」


やっぱりこんなんキタ───!!


「今?
すぐソコに火事場がある、この状況で?
冗談でしょう?」


顔を引きつらせたダリアが、さりげなく手を離そうとするが…

< 310 / 501 >

この作品をシェア

pagetop