花の名は、ダリア
Ⅰ
自由の翼ジャケットを着たカリアゲくんが、油断なく辺りを見回している。
埃が落ちていないか、チェックしているに違いない。
やたら身体にフィットしたセーラー服の美少女戦士五人組が、ポーズをとっている。
群がる男共に、オシオキする気に違いない。
色んな世界観の色んな生き物が蠢く、この空間。
まさにカオス。
そのカオスを製造する一員となっていることに軽い目眩を覚えて、ソージは片手で額を押さえて項垂れた。
そんなソージの肩を、チョンチョンと指でつつくのは…
「ねェねェ、ソージ。」
今日は長いぺールブロンドをソージとお揃いのポニーテールにした、ダリアだ。
二人が出逢ってから、長い時が流れた。
けれどまだ、一緒にいるよ。
「どうしてあの人は、お口チャックなの?」
愛らしく首を傾げるダリアが指差す方向には、片目と顔の下半分を黒いマスクで覆った、白髪のグール。
確かに、お口にチャックがついてるネ。
「アレは罰ゲームです。
場を凍りつかせる、寒いギャグでもカマしたンでしょう。」
ソージは無責任に答えた。