花の名は、ダリア


自由の翼ジャケットを着たカリアゲくんが、油断なく辺りを見回している。

埃が落ちていないか、チェックしているに違いない。

やたら身体にフィットしたセーラー服の美少女戦士五人組が、ポーズをとっている。

群がる男共に、オシオキする気に違いない。

色んな世界観の色んな生き物が蠢く、この空間。

まさにカオス。

そのカオスを製造する一員となっていることに軽い目眩を覚えて、ソージは片手で額を押さえて項垂れた。

そんなソージの肩を、チョンチョンと指でつつくのは…


「ねェねェ、ソージ。」


今日は長いぺールブロンドをソージとお揃いのポニーテールにした、ダリアだ。

二人が出逢ってから、長い時が流れた。

けれどまだ、一緒にいるよ。


「どうしてあの人は、お口チャックなの?」


愛らしく首を傾げるダリアが指差す方向には、片目と顔の下半分を黒いマスクで覆った、白髪のグール。

確かに、お口にチャックがついてるネ。


「アレは罰ゲームです。
場を凍りつかせる、寒いギャグでもカマしたンでしょう。」


ソージは無責任に答えた。

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