花の名は、ダリア

「ジ~ン…
ジ~ンとしてるぅぅぅ…」


そう。
ダリアが殴ったのは、ソージを閉じ込める強化アクリルガラス。

そりゃ、ジ~ンとなるわ。


「ナニやってンですか…
帰ってろって、言ったでしょう?」


ソージはアクリルガラスに掌をつき、赤くなった拳にフーフー息を吹きかけるダリアを覗き込んだ。

すると、ダリアがキっと顔を上げる。
ついでに、ガラス越しに掌を重ねる。


「もちろん帰るわ!
でも、ソージも一緒じゃなきゃイヤなのっ!」




もぅ…

言ってるコトも、やってるコトも、その涙目も、可愛すぎる。

コレはもう…
いいンじゃねーカナ。

ガラス越しのキスなんてスイーツ(笑)丸出しなコトしちゃっても、許されンじゃねーカナァァァァァ!!??


「貴方には敵いませんよ。
ケガはありませんか?」


ついさっきまで愛のクソ全開だったことなど嘘であるかのように甘く、ソージは微笑む。


「平気よ。
ソージが見つかってよかった…」


目尻の涙を指で拭って、ダリアも微笑む。

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