花の名は、ダリア



あれ?

ダリアが呟いたのは、予想外の…というより、展開が読めないフレーズ。

ナニ?
怒ってンじゃねェの?


「なんの話です?」


ソージは首を曲げ、ダリアの顔を覗き込もうとしながら訊ねた。


「前に、私がサムの話をしたじゃない?
今日は、サムと直接話したじゃない?」


「えぇ。」


「それで…
自分も自由に生きてもイイなって。
ヴァンパイアになったからって、ずっと私と一緒にいる必要ナイなって。
そんな風にソージが思って…それで…」


「はぁぁぁ?」


ソージが素っ頓狂な声を上げると、やっとダリアも顔を上げる。

下がった眉尻。
潤んだぺールブルーの宝玉。
への字に結ばれた唇。

クっソ可愛い。

そんなコト考えて、ションボリしてたの?

もう一人の『貴族』の話をなかなかしてくれなかったのも、アウシュビッツの地下牢で不安そうにしてたのも、そんなコトを心配してたからなの?

あぁ、もぅ…
好きすぎて100万回は死ねる。

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