花の名は、ダリア

喉がヒリヒリと焼けつくような激しい渇きを覚えて、ソージはカっと目を開けた。

視界は真っ赤に染まっている。

なんだ?コレ。

苦しい、苦しい。

欲しい。

‥‥‥ナニを?


「飲んで。」


労るような声と共に、ヒビ割れた唇にナニカが落ちてきた。

一滴、二滴…

あぁ、甘くて蕩けそう。
今まで口にしたことのない、禁断の蜜の味。

もっと、もっと…


「いいのよ。
欲するままに奪えばいい。」


赤い世界に、二つの青い炎が瞬いた。

なんだ?コレ。
誰だ?コレ。

ぼんやりと浮かび上がった、細い手首から真紅の蜜を滴らせる美しい花。

欲しい、欲しい、欲しい…


(ダリア…)


ソージは視界も定まらないまま、手探りで彼女を組み敷いた。

黒装束の襟元を力づくで引き裂き、露になった乳房を鷲掴みにして白い喉に喰らいつく。

あれ?コレ、なんか違くない?なんてノンキにのたまっても、もう遅ェよ。

『欲するままに奪えばいい』

欲しいのは… 貴方の全て。

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