小鳥沢2丁目物語


「こんな事なら一緒に遅刻すればよかった」



ひとりごとを言いながら適当にギターを弾く。



なにも考えないで弾いていたら、全校応援で昼間歌ったせいか、なんとなく小鳥沢高校の校歌を弾き語りしていた。







「校歌をロックバージョンにするとかお前バカなの?」




「はっ?!」




誰もいないと思っていた公園で話しかけられて、わたしはとっさに振り向いた。




そこには、小鳥沢高校の制服を着た男子。




み、見られてた。




恥ずかしい...



「てゆうかさ、12小節目、もっと強く弾いた方がかっこよくね?」



「え?こ、こんな感じ?」




「あー、違う違う!ちょっとかしてみ」




その男の子はわたしのギターを手に取ると、わたしの何倍も上手に弾いて見せた。





「わ...じょうず...」




「そうか?ありがと」





えっ、




思わず口に出てた...。



恥ずかしい。



< 2 / 55 >

この作品をシェア

pagetop