月のうさぎ～寒がりな天使～

俺の名前は、高橋駿佑。


バスケ一筋で今までやってきた俺は、社会人になり、目標を見失っていた。



大人になるってこういうこと？

好きなことを諦め、夢もなくなり、忙しさでそんなことも感じなくなる。


この会社に入社してから5ヶ月が過ぎた。


俺はなんだかおかしい。


毎朝、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車の中で、ひたすらに体を小さく丸めて、存在感を失くす。


改札へ向かうサラリーマンの波にまだうまく乗れない俺。


時々、定期入れが鞄の中で行方不明になり、バーコード頭のおやじに舌打ちされる。


会社に到着する、午前８時半。


もう一日の体力も気力も使い果たし、疲れた顔で朝礼…



余裕のない日々。