聖なる夜の奇跡～身分違いの恋～

私達2人は、いつも笑っていた。


笑っていなければ、悲しい空気が流れるから。



―いつか終わりが来る―



それは、私と同じように、大介も感じていることだった。



だから、大介はいつもふざけて、私をいじめる。


『お前、ばかじゃね～の？』


『うぜーって！』


いじわるを言うけれど、決して『別れるぞ』なんてことは言わなかった。


それは私達2人にとって、冗談にはならなかったから。




大介は、いじわるを言う時、瞳の奥が悲しそうだった。



そんな大介を見て、何度も涙を我慢した。




いつか終わりが来るなら、今だけは笑っていよう。



そう思いながら、大介との一瞬一瞬を大切に過ごした。





いつか見られなくなる、この笑顔を･･･



いつか聞けなくなる、この声を･･･