褐色のあなたに水色のキミ
秘密の…
いつの間にか、道端に落ちる空蝉の姿を見かけなくなり、蝉の声に代わり、リンリンと虫たちのオーケストラが賑やかに夜を彩る。


季節は、少しずつ移ろいでゆく中で、私と山田さんの関係は、さらに深く深くなっていった…。


金曜日の夜は、毎週のように彼が私の部屋に来た。挨拶のように身体を重ね、私の手料理を食べると、終電に乗って帰る…。私は、それで満足していた。でも、彼は『もっと』私を欲しているようだった。


うちのオフィスに定期的にやって来る彼が、ある夜、私に提案をした。


『週に何度も会うことはできへんから、仕事の合間を縫って、愛し合おう?』


『そんなこと、できへんよ』


『しおりちゃん、30分のティータイムがあるやろ?その時間の半分だけでも会えればいい』


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