人鬼姫
 
 鬼を全て倒し、地上に降りると紅丹臣はまだ鬼と戦っていた。
 まだ戦っているのかと思い、再び刀を引き抜く。

「紅丹臣、なにをしているの。早く倒さないと」

 紅丹臣は聞いているのかいないのかこちらを向かずに、その鬼と刃を交えていた。

「……私も加勢しようか?」

 紫苑がそう言うと、鬼の方がこちらを見る。
 その鬼の視界が紫苑をとらえると微笑みを浮かべ、言葉を発した。

「おやおや、貴女が紫苑さんですか? わたくしは早見と申します。ふふ」

 早見と名乗った鬼は、鮮やかな青色の髪をしていた。
 刀をしまうと艶があり胸までの長さであるその髪を弄りだす。
 紫苑は髪を弄びながらあやしく笑うその男に嫌悪感を覚えた。
 と、紅蓮がやっとこちらを向く。

「紫苑! コイツ、強くて速い。気をつけろ!」

「わかった……時に早見さん、貴方は一体何者なのです?」

 紅丹臣はそれだけ言って一歩引いた。
 また、それに反して紫苑は一歩前に出て早見に何者なのかと問いかける。

「ふふふ、そうですねえ」

 そう言って早見は考えるような素振りを見せたが、実際はなにも考えていないようなことは二人にもわかった。
 紫苑はさらに前へ足を出す。

「惚けていないで教えてください。私も気長ではありません」

 刀を早見の方へと突き出し、紫苑は彼を睨んだ。

 なんなの……この早見という鬼は。

「わたくしは貴女ともお手合わせ願いますがね。ふふふふ」

 相変わらず薄く笑っている早見は、また刀を鞘から抜き出した。
 両者ともに刀を構え、お互いの眼を見る。
 また、紫苑は軽く早見のことを睨んでいた。
< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

アヤカシたちのお妃候補は人間の女の子でした
NOAYA/著

総文字数/10,040

ファンタジー16ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「私、どうなっちゃうの……!?」 中野亜美(12) 【Ami】 「亜美、愛してるぜ」 友也(12) 【Tomoya】 「我が妻たるもの、他の男を見るでない」 彰(20) 【Akira】 「亜美様、命を懸けて貴女をお守りいたします」 晴彰(16) 【Haruaki】 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ はじめてファンタジーに手を出します。 今回は簡単に言ってしまえばアヤカシが一人の女の子を奪い合うというお話です。
【短編】告白~難病少女と無愛想少年~
NOAYA/著

総文字数/2,707

恋愛(その他)14ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「私……あなたが羨ましいな。私は、あと1ヶ月しか」 橋本愛未 【Hashimoto Manami】 × 「母さん……なんで死んじまったんだ」 橋本晴太 【Hashimoto Seita】 難病少女と無愛想少年のお話。
【短編】アナタとワタシ
NOAYA/著

総文字数/2,475

恋愛(ラブコメ)9ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
  「な、何ですか先輩っ!」 弱気で消極的な女子 旭川鈴華【Asahikawa Rinka】 × 「俺に黙って従え鈴華」 ドSなクール男子 沢下昌樹【Sawashita Masaki】 2人の恋はどうなるのやら……? 2013.11.18 公開、完結 のらいぬ様 素敵なレビューありがとうございました。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop