雨の日は大声で歌をうたおう
Vol.17 マンガを描くのが好きだった

子供の頃、絵を描くのが好きだった。
絵筆で描くのではなく、お姫様とか女の子とかのマンガ。
暇があれば描いていた。
授業中も、勉強なんか嫌いだったから、ノートには女の子の絵ばかり並んでいた。
クラスの女の子は、新しい自由帳を卸す時、
最初のページに私にマンガ描いてくれ、って言いにきたくらいなんだから。
そして私の机をみんなが囲んで、「上手いなぁ」と感嘆の声を上げた。

いつからあの絵を描かなくなったんだろう?
小学校高学年くらいだったろうか。
アニメオタクの女の子達がぽつぽつ出てきだした。
周囲の目を気にせず、2次元の人物を本気で恋し、
(シティーハンターとか大人気だった!)
彼女らしか通じない言葉を話し、
独特の世界を作り上げていた。
私は周りの視線ばかり気にしている自意識過剰の子だったから
同類と思われたら困る!と描かなくなった。

この間、道を歩いていたら、
私の前に小学生の女の子2人がお喋りしながら下校していて、
自由帳に描いたマンガを見せ合っていた。
1人の女の子の片手には、図書館で借りたらしい少年少女文学全集の1冊なんか
を持ってて
過去の私を思い出した。
< 19 / 40 >

この作品をシェア

pagetop