*とある神社の一人ぼっちな狐さんとの、ひと夏の恋物語*
prologue


拝啓 狐さん


元気ですか。
身体の方はお変わりありませんか。

貴方にとってあの夏は、長い長い生涯の中の些細な出来事だったのかもしれません。


でも私にとってあの夏は・・・今でも忘れられない青春の1ページでした。

白い毛並みに赤い模様をつけた貴方の姿が、優しかった貴方の仕草が、今でも夢に出てきます。



どうして、あの時、
貴方は私を置いて行ったんですか。


大好きでした。
だからこそ、ショックでした。

また貴方に会えたら、
その時はまた・・・・・・_______






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クシャッ




「・・・っ、」



木漏れ日が漏れるとある神社。
白い毛並み、顔には赤い模様、
銀色の袴を着た人の顔をした狐が一人泣いていた。





これは、とある少女と”あやかし”の、
一夏の恋物語。
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