星降る夜に。



「莉子みたいな出会いって、そうそうないと思うよ。旅先で出会って惹かれ合って、でも別れて、また出会う…。運命じゃない」



みのりとお酒を飲むのは気兼ねがなくていい。私と大輔さんが終わったことを知って誘ってくれたのだ。



「それは私も島で思ったよ。また会うことがあったら運命以外の何ものでもないって。大輔さんは、言葉に出来なくても私の気持ちを分かってくれてた。お互いが必然的な存在だったのかも知れないって感じた。私、あんな恋したことなかったよ。あんなに人を好きになったこともなかった…」



気づかないうちに溢れてきた涙がテーブルに落ちていく。

好きだと自覚していながら彼を選ばなかった私が泣くなんておかしいのに。



「無理に忘れようとすることないわよ。吉岡さんが好きならその気持ちは大事にしたほうがいい。もちろん結婚するんだし、そうもいかないだろうけど…。押し込めようとすると苦しくなるでしょ?」


「でも私、大輔さんにたくさん幸せな時間を貰ったから…頑張るって決めたの。仕事も、家庭も」




彼といた日々を振り返ってはいけない。思い出したら私はその中に引き込まれてしまう。
< 152 / 171 >

この作品をシェア

pagetop