星降る夜に。
時間が流れるのはいつだって早くて、今こうしている瞬間もあっという間に過去になっていく。
忘れたくない思い出も、心の中で消化されていく。





誠さんとの出会いは2年前の合コンだった。

私は親友の、みのりに無理やり数合わせで連れて行かれた。
みのりは何年も恋人がいなかった私を心配していたけれど、私はそういう場所は苦手だ。

だから盛り上がる輪の中に入れなくて、お店のカウンターで一人ゆっくりしていたとき、遅れてやって来た誠さんに声をかけられた。

彼は、急に参加出来なくなった友人の代打として合コンに送り込まれてきた、と言った。



上品な雰囲気で優しい顔立ちの彼はすぐに女性陣に囲まれていたけれど、どうにも苦手だと言って私の隣でマイペースに食事をし始めた。



別れ際にくれた名刺には、走り書きで携帯の番号とアドレスが記されていた。
2次会の行き先で盛り上がるみんなを前にして、「また話したいから連絡してほしい」と誰の目も気にせず言う彼に、男らしさを感じたのを憶えている。



「ちょっと!高城出版の高城誠…ってことは御曹司じゃないの?!」
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