Revive


それから僕は、なるべく1人で行動するようにしていた。
夢野は相変わらず、授業が終わると教室から出ていく。
僕が窓の外を眺めていると、
「空野君」と隣から声がした。
僕は隣を見た。
秋山だった。
僕は表情を変えた。

「大丈夫?元気ない。」

秋山は心配そうに言う。
秋山だけは今までと変わらずに接してくれる。

「大丈夫だよ。ありがとう。」

僕は秋山の机の上にピンク色のノートが置かれていることに気が付いた。

しかし、それはあのA5サイズの恋ノートではなく、
普通のピンクのノートだった。
そういえば、恋ノートのことをすっかり忘れていた。
僕が拾った恋ノートはずっと鞄の中だ。

「そのピンクのノートで思い出した。
秋山は、恋ノートって知ってる?」

僕は秋山に恋ノートの話をした。

「恋ノート?それ、なぁに?」

秋山は恋ノートのことを知らなかった。
恋ノートはテレビでもネットでも紹介されていたし
若者、特に女子学生の間では話題になっているとサイトには書かれていた。
この僕でもテレビを見て少しは知っていたのに。

「恋ノートって、
女子達の間で流行っているらしくて、
テレビでも紹介されてたんだ。
好きな人のことをそのノートに書くと、
恋が叶う。でも、名前は書いちゃダメで、
好きな人の特徴とか、好きなところを書いていく。
A5サイズのピンク色のノートで
1200円で売られてる。ビックリだよな」

秋山はフフフッと笑った。

「すごい。恋が叶うなんて。素敵ね。」

秋山はそう言うと僕を見つめる。

「でも私はそういうの信じない。
そんなノートには頼らずに、
好きな人には、直接好きって伝えたい。」

秋山は笑顔で言った。
僕はドキドキした。

「僕も同じだ。
こんなノートを信じるなんて
バカバカしいと思ってた。
好きな人について書くだけで
振り向いてくれるなんて、
そんなうまい話あるわけがない。
そんなことができたら誰も恋愛で苦労しない」

でも、もし恋ノートが本物で
本当に恋が叶うとしたら、
僕は秋山のことを書きたいと思った。

「本当に恋が叶うとしたら、
空野君は、ノートに書きたい人いるの?」

秋山は僕が今考えていることを聞いてきた。

「え?」

僕は秋山を見た。
今、ここで秋山の名前を出したら、
僕は秋山に告白したことになる。
いや、今が告白できるチャンスかもしれない。
今しかないかも。

その時、夢野が戻ってきた。
やはり今ではない。
僕はそう思った。



< 14 / 82 >

この作品をシェア

pagetop