【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
第一章+楽しい時間+

キノがかわいい



世間は増税やら紛争やらでもめにもめている。

ところで日本の夏は今日も暑い


「暑い」


ぼやっと呟いたまま開けっぱなしの口。
ブロロっと車がさかんに目の前を交差していくが、なかなか赤信号は変わらない。

バス停の日陰もあまり役に立たないほどの暑さで

遅れて返事がやってきた。


「暑いね」



どこからかセミの鳴き声が聞こえる




「あと何分」


「3分」


「カップラーメンできんね」


「やったね」



別に嬉しくもないけど


それにしても暑い。
頭の上から汗が流れてきてるし

早く風呂入りたいし


夏休みまでもう少し。

今日は修了式だったから実質もう夏休みなんだけど
なぜか明日から夏期講習という名目のもと学校にいかなきゃならない。



「ねえ、そーめんとさ、おうどんどっち食いたい?」

「冷たいおうどん」


「だよねー」



どーでもいいよね

いまおうどんどーでもいいよね


まあいいんだけど。


無駄に背の高いこの人


木野隆也くん

やる気のない帰宅部高校生
そのくせ成績は真ん中

普通に整った顔立ち

趣味は漫画集め



「タカー」


「なに」


「おうどんと俺どっちのが好き」


おうどんとなぜ比べなきゃいけないんでしょうか。


「美味しいのはおうどん」

「俺、まずいのかー」


「食べたくはないよね」


茹でれないしね。


「けど、」


「うん」


「キノは好き」


「俺もおうどんもタカも好き」



キノは

私の彼氏です。
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