【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―

知りたい



翌日


休みたいのは山々だが

私は今日も午後から劇の練習のため学校に行った。

キノは案の定来ていなくて
当然のようにその理由を聞かれる私は
まさか川に飛び込んだのよなんて言えるわけがないので
適当に病院に行ったと言った。


誰もそのことに疑いを持つ人は当然いなかったが

七瀬さんだけが練習後私に近づいてきた。


「あの………昨日の、」


なんだか気まずそうな七瀬さん。

昨日って…


……………



はっっ!!



そうだ、キノのせいでめちゃくちゃ忘れてたけど

昨日マヒロくんと話すために行ったんだった。


なんだか急に悪いことしたような気がしてきた。

七瀬さんのためにしたことなのに


すっかりキノのことになってしまって。




「大丈夫、もう怒ってないって
だから普通に話しかけてみたらいいと思うよ」


「そっか、そっか、…へへ、ありがとうね高橋さん」


「ううん、全然、」


「…高橋さん?」


「え?」


「元気なくない?」



七瀬さんに言われてはっとする。

私、いつも以上に暗い顔をしていた。


七瀬さんの鋭さにドキリとくる。



「元気だよ」


「うそ。元気じゃない」


「…はは」


「絶対なんかあった」



七瀬さんは少しむっとしながら呟いた。


七瀬さんのぱっちりした目に耐えられず目をそらしてしまう。



「悩み事?」


「…いや」


「今日木野くんが来てないこと関係ある?」


「キノは、病院行ってるだけで」


「どうして病院に行ってるの」



ぐいぐい来る七瀬さんに私はどんどん愛想笑いが苦笑いになってしまって

七瀬さんはそんな私をみてさらに問い詰める。



「高橋さん、教えて」



私は

裏表のない率直な人が

少し苦手かもしれない。


七瀬さんはそれからだんだん眉を下げて
悲しそうな寂しそうな

なんとも言えない表情になった。




「高橋さん、私のためにたくさんしてくれたから

私もなにか相談にのりたかったけど

迷惑、だった?」


「いや、そんなことは」


「……まあ、そうだよね

私達、友達でもなんでもないし」


「……あの、」


「いいの!わかった!

じゃあ改めて言わせてもらうから!」



七瀬さんは悲しい顔を振り切るように一度後ろを向くと

くるっと回ってこちらに顔を向けたときにはいつもの悩殺スマイルだ。
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