【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―


もういいもういい

私ちょっとばかになったのかしら。

期待はしない

うん、そう。

キノに期待なんかするものか


よし、帰ろ


なんて考えながら
もしかしたら追いかけてくるんじゃないのって振り向いたりして。


ああ、嫌になる



信号にさしかかって肩をおとす。

明日からの夏休み
どう過ごそうかな。


夕焼けがやけに眩しかった。

私の足は青信号になっても動かなかった。


長かったような短かったような

それでもキノと付き合って一年が過ぎた。



その場の流れに任せて付き合ったけれど

私は今

こんなにも


キノが好きだ




「バカ〜……」


ぶわわわと目に溜まった涙がぼろぼろ落ちてきた。

私は両手で顔に覆った。

私、こんなよわっちかったっけ。


今までキノが急にどっか行っても
約束忘れても

呆れるぐらいだったのに。

他の女の子に笑いかけていたぐらいで何泣いてんだか。


恥ずかしい、恥ずかしい


止まんない



涙が止まんない



パシャ
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