エージェント Ⅱ




「はい、とーちゃく」




連れて来られたのは、街外れにある大きな工場跡地。



「ここ、俺らの溜まり場」



そう言って彼は中へと入っていく。





「総長、おかえりなさいっ!」
「雨の中、ご苦労様ですっ!」



彼に向けられる視線は、尊敬そのものだった。


本当に、総長なんだ…。




「俺が総長なんて、疑ってたやろ?」

「えっ、」


なんで、わかるのよ。



「美園ちゃんって、わかりやすいな」

「っ…」

「まあ、いい。それで幹部室があるけど、もうここまで来たんなら、後戻りできんからな?」

「わ、わかってます…」




後戻りできないのは、あの場所から逃げてきた時から覚悟していた。



この先どうなるかなんて、わからない。




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