恋のカルテ

やがて五十嵐先生が医局に現れると、私と大津さんは病棟へと連れて行かれた。

看護師たちへの挨拶もそこそこに先生について病室をひと通り回る。

「早朝回診というやつだ。主に状態の安定していない担当患者と、夜間に何らかの変化があったと報告を受けた患者の様子を見に行く。そこで得た情報をもとに、治療方針を立てなおす」

「……はあ」

「君たちにも数名ずつ担当患者を選んでおいたから、明日からは自主的に行ってくれ」

五十嵐先生はそういうと、私たちに担当患者のリストを手渡した。

「患者の情報は電子カルテを参考に。その他必要なことがあれば、受け持ちの看護師、もしくは本人方直接話を聞いてみるといい。まずは患者を知ることだな」

「はい、分かりました」

私は大津さんの顔を見上げる。すると大津さんはやる気に満ちた顔でそのリストをみつめていた。そして次の瞬間には看護師に声をかけて、空いていたパソコンをゲットする。

凄い行動力。そして、忙しそうな看護師を呼び留める勇気に脱帽。私には到底できない芸当だ。

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