委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
委員長の元彼
「相原君が一目惚れした玲奈は、たぶん本当のあの子よ」

「え、そうなんですか?」


 僕はてっきり逆だと思っていた。という事は、アイスクイーンの桐島さんは、本当の彼女じゃないって事か?


「うん、本来の玲奈だと思う。それを見せたって事は、玲奈は相原君に何か感じるものがあったんじゃないかしら……」

「はあ……」

「それは考え過ぎじゃないか? 単に眼鏡が雨で濡れるのが嫌で外してた、ってだけだろ?」


 すかさずそう言ったのは阿部君だ。抹茶のフラッペを口に放り込みながら。因みに僕もそう思った。


「あんたは黙ってて。夢も希望もないんだから……」

「なんで“夢”とか“希望”が出て来るんだよ?」


 うんうん、僕もそう思う。


「あたしね、玲奈とは結構仲が良かったのよ。親友とまでは行かないけど。あの子、物静かで大人しくて、でもあたしとは結構話してくれてた。笑顔がとてもチャーミングで可愛いかったわ。あの頃までは……」


あの頃……?


「今の玲奈はまるで人が変わったみたいで、あたしが話し掛けても会話にならないのよ。笑顔はずっと見てないし、眼鏡なんか掛けちゃって、男子からは“アイスクイーン”て呼ばれるくらい、冷たい表情しかしなくなった。あたし、玲奈にはなんとか本来のあの子に戻ってほしいのよね……」

「渡辺さん。桐島さんに何があったんですか?」


 僕はフラッペなんかそっちのけで、身を乗り出すようにして渡辺さんに話の先を促した。ところが……


「ん……やっぱり言わない方がいいのかなあ」


 と言ったきり、渡辺さんは口をつぐんでしまった。

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