委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 僕は本当に純情なんかじゃないと思う。なぜなら、時々見るその夢の中で、僕は女の子とアレをしているのだから。

 相手の女の子は顔も名前も分からないのだけど、いつも同じ子だと思う。そして、僕にどうしてそんな知識があるのか不思議なのだけど、本当にリアルに、生々しく、女の子とのアレを楽しんでいるんだ。夢の中だけど。

 この夢の事は、あまりに恥ずかしいので母にすら話した事はない。もちろん、阿部君や渡辺さんに言うつもりもない。


「それはともかく、桐島さんの事を話してください。僕は彼女の事をもっと知りたいんです」


 そう言って、僕は渡辺さんの目を真っ直ぐに見据えた。すると……


「わかった、言うわ。どうせいつかは相原君も知る事になると思うしね」


 と渡辺さんは言ってくれた。


「おい、相原。おまえも食べないと、溶けだしてるぞ?」

「う、うん」


 僕はフラッペなんかどうでも良かったが、阿部君に言われたので一口だけ食べた。味なんてさっぱりわからなかったけれども。


「玲奈はね、っていうか玲奈にはね……彼氏がいたのよ」


 渡辺さんの言い方も影響したとは思うけど、“彼氏”という言葉が僕の心に重々しく響いた。


「そいつは誰? 同じクラスの奴か?」


 少しの間を開け、阿部君がそう質問してくれた。

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