委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜

~玲奈Side~

 3年になり、私は来年の大学受験を目指し、ますます勉強一筋の日々を送っていた。もちろん恋なんかしないし、そんな相手もいない。もう、私には……


 ただ、気になる同級生がいる。正確に言うと、“いる”ではなく“来た”だけれども。その同級生の名は……相原悠斗君。


 新学期が始まって2ヶ月ほど経ったある日、彼は私のクラスに編入して来た。この時期になぜ、と私は不思議に思ったものだ。


「西高から編入して来た相原悠斗と言います。よろしくお願いします」


 そう自己紹介をした彼に、私の目は釘付けになってしまった。なぜなら、名前があの人と同じ“悠斗”で、声がそっくりだったから。もちろん全くの別人なのだけど、よく見れば身長や体格もよく似ていると思う。いくらか相原君の方が体つきが細いみたいだけど。


 その後も、つい気になって彼を目で追ってしまう私。そして、無意識のうちにあの人と比べてしまう。

 歩き方があの人に似ている事に気付く一方、その他の事は違いが多い事にも気付いた。例えば、相原君は動作がゆっくりで、スポーツは苦手のようだけど、あの人は動作がキビキビしていてサッカーが得意だったとか、相原君は自分の事を“僕”と言うけど、あの人は“俺”だった、などなど。

 違いと言えば、そもそも年齢が違うし顔も違う。相原君の顔は整い過ぎと言ってもよいほど端整で、ほとんど表情のないいわゆる“しょうゆ顔”だけど、あの人の顔は“ソース顔”とまでは行かないけど、精悍で、凛々しくて、一見するといつも怒ってるような顔だった。

 と言っても、最近ではその記憶も少し曖昧になってきているのだけど……

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