LOVE or DIE *恋愛短編集*
たった1枚残ったあなたとの思い出の写真に

写っているのは、あなたと私ではなく


生活圏から遠く離れた、誰も知る人のいない北の地で

それでも2人の軌跡を残すことなど、赦されるわけがなかったから


ゴンドラの上から山の向こうに見えた湖は
マイナス10度でも凍らない神秘

西に傾いた陽を受けて
湖面も雪に覆われた山肌も、黄金色に輝いていた


日が落ちる前にあの湖を見下ろせるところまで行こうと

2人、はしゃいだ

あの時のことを、
あなたは覚えていますか?


黄金色の湖と、山と、空と
切り取った景色の真ん中に寄り添うのは


あなたと私

ではなく


あなたの板と、私の板のシルエットでした。
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