LOVE or DIE *恋愛短編集*
左手を取ったあなたが

唇を落としたのは薬指の付け根だった



いつもいつも

甘くなれるのは人目を避けた車内だけで



この2人だけの密室が嬉しくて

悲しくて苦しくて



左手を引っ込めた私の

気持ちに気付いて



「欲しい?」



何が?

私を縛る鎖が?



頷く私は

本当に罪深い



そこへ誘うあなたは

きっともっと罪深い



あなたが口にしない真意を問う

探る

私はいつも

答えには辿り着けない



初めて降り立った人前で

並んで手を繋いでいていいの?


あなたが真剣に見つめているガラスケースの中に並ぶ

プラチナの形状が表す意味を知ってる?


約束など出来ないクセに

それでまた私を縛るのね


自由には

してくれないのね



刻まれた『forever』の文字が

永遠を約束するものじゃないことを私は知ってる


あなたが私のものでいてくれる時間が

これからどんどん減っていくことを知ってる


その内に『forever』の存在すら忘れて

私から離れていくことを知ってるのに



絡みつく鎖を心地良いと思ってしまえる自分は

やっぱり罪深い

きっと、あなたよりもずっと












――ねえ

あなたは自分に嵌めた枷を

あの後どうしたの?



形を手離してもなお

『forever』は私に絡みついて離れない



あの刻印さえなければ

とっくに自由になれていたはずなのに






*fin*

(執筆2014/??)
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