とりたいもの。
悲劇
「先輩、しましまパンツ見えてます」
「こんなところに寝そべってる織くんが悪いんだよー」
「ここは中庭です。しかも、寝そべってる高校思春期男子の顔の上にスカートで立つ先輩がおかしいんです。」
「ありゃー?そうかなっ」
先輩のこの無神経な性格には困ったもんだ。
これをされるのが俺でよかった。抹陽とかだったら絶対…いや、なんでもない。
「どうしたのー?」
「…いや、別に 」
こーゆーのはやめようか。はい。
先輩と関わって、1ヶ月が過ぎた。
授業もたまに出るし、先輩もたまに俺の顔撮ってるらしいし、
まぁ平凡だった。
あいつが、あーなる前までは。
―――――――――――――――――――
《雛深んち、いまから行ってくるw
おふくろが、野菜もってけってw》
そんなメールが、夜の9時ぐらいに俺のケータイに届いた。
抹陽からだ。
抹陽とはあれからよくメールするし、授業出てよく話したりするようになった。
抹陽はほんと雛深がちっこいころから好きで好きでしょうがないらしい。
滅べばいいのに。
《ふーん 爆発しろ》
そう送って、ベットに潜り込んだ。
そのまま、寝てしまった。


何時間たっただろうか。
急にケータイが鳴り出して、起きた。
「うるせぇな…。」
出てみると、雛深先輩からだった。
「雛深先輩?どうしたんですか」
眠かったんで不機嫌に出ると、震えた声でこう言って切れた。
「たすけて!」
一瞬わけが分からなかった。何があったのか。
そして、今までのことを整理して、やっと何があったのか予想できた。

9時ぐらいに雛深先輩の家にいった抹陽。
抹陽は雛深先輩が大大大好き。
雛深先輩は超鈍感。
夜に、片想い相手の家に行く。

「…っあの、馬鹿抹陽!!!」
俺は、全力で走り出した。

.........................................................................

案の定、雛深先輩の部屋のベットにいた。
「…っ、織くん!たすけて!」
「おとなしくしろ、雛深…。」
「おい、どあほ!!!」
俺は急いで雛深先輩から抹陽を引き離した。
「なにすんだ、織!」
「なにすんだはこっちのセリフだわ」
本気でパンチした。手、すげぇ痛い。
「雛深先輩が嫌がってるの分かんない?
あと、雛深先輩も両親旅行のときに、部屋に男いれちゃだめだよ」
雛深先輩は涙目で俺の後ろに隠れる。
抹陽はずっとうつむいたままだ。
「雛深、ごめん。俺…。」
「わかってるよ、あは、ひなもごめんね?」
お互い謝ったものの、気まずい雰囲気が流れている。
「抹陽…。雛深先輩…。」
抹陽を帰らせて、雛深先輩とふたりにしてもらった。
「雛深先輩、あほなんですか。なんで…。」
「ごめんね、あのね、…。」
「馬鹿!!!」
俺は気が付くと、声を荒らげていた。

何かあってからじゃ遅いんだよ。

言ってやりたかったけど、いう前に雛深先輩が声をはなった。
「あは、馬鹿だね、ごめんね…。
帰ってもらって、い?」
「当たり前だ。帰る。」
それ以上は、何も話したくなかった。

雛深先輩卒業まで、あと1ヶ月。
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