キミと帰る道






そんなことを藤谷くんから言ってもらえるなんて、思ってもみなかった。





〝友達〟に…なれたかなあ?
少しでも藤谷くんは覚えてくれた?





キーンコーン———。
校舎から5限の予鈴が聞こえてきた。





…短いなあ。
もっと、もっと話したかったのに。





「じゃあ、また…明日の放課後ね!
明日、一緒に帰ろうっ」




「あぁ。 またな」




「うん!」





幸せな時間だった。
嬉しすぎて泣きそうにもなった。





それに…藤谷くんが『また』って言ってくれたのがなによりも嬉しいよ。





こうやって、話せることだけが幸せ。
名前を呼んでくれるだけで幸せ。
柔らかく笑ってくれることが幸せ。





……幸せすぎて、怖いくらいだよ。




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