キミと帰る道






「ちょっと、嬉しいことあって」




「…悲しいことじゃなくて?」




「うんっ」





藤谷くんとのことは。
悲しいことだけじゃなくて。
嬉しいことだって、あるんだよ。





藤谷くんが人と楽しそうに話すのを見ただけで、なんだか心が温かくなるもん。





「ふぅん。 それならいいんだけどね!」





優芽ちゃんは優しく微笑んだ。
そんな優芽ちゃんに『ありがとう』と私も笑顔を返す。





「すずちゃん、優芽!
ねえ、これ見てよっ」





あみちゃんが少し離れたところに立つ、私と優芽ちゃんを手招きした。





机の上に広げられた雑誌のあるページを、あみちゃんが指を差す。





「この子可愛いよね〜」




「あみちゃんってば、センスないの!
こっちの子のほうが可愛くない?
すずちゃんと優芽ちゃんはどう思う?」





ふたりは別々の女の子を指差しながら、私と優芽ちゃんをじーっと見てくる。





うーん…どっちのモデルさんも可愛いんだけどなあ。





< 149 / 228 >

この作品をシェア

pagetop