キミと帰る道






4人で肩を並べて。
近くにいた女の人に写真を撮ってもらう。





「行きますよ〜。
さん、にー、いち…」





カシャッ———。





こんな素敵な友達と出逢えてよかった。
こんな素敵な人と…出逢えてよかった。





どんなに辛くても苦しくても。





我慢して諦めなかったから。





いまこんなに笑顔でいることができてるんだと思うんだ。





「みんな、別々の進路だけどさっ。
また会おうね! 藤谷くんは男ひとりだけだけど〜」





優芽ちゃんが、少し目に涙を溜めながらも、ものすごく素敵な笑顔でそう言った。





最初は光輝くんも優芽ちゃんのことを覚えられなかったけど。
高校3年生になって、4人で同じクラスになって。
どうやら、一緒にいるうちに覚えたみたいでよかった。





「本当だよ。
俺、男ひとりだし」





ふはっ、と光輝くんが柔らかく笑った。
……それは私の大好きな笑顔。





「ふぇ〜ん…。
離れるの嫌だよ〜っ」




「聖羅ちゃん、泣かないでっ。
いつでも会えるよ!」





泣きべそをかく聖羅ちゃんの背中を優しくさする。





本当は私だって悲しいよ。
でもね、また会えるから。
最後のお別れじゃないから。





私はこの区切りでもある別れを笑顔で過ごせる。





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