キミと帰る道





「隣のクラスに、いるけど…。
藤谷くんとは知り合い…?」




「うん。 幼なじみなのよ」






幼なじみになりたいと思った。
藤谷くんの大切な人になりたいと思った。




…だけど、聖羅ちゃんなら…諦めがついたっていうか。





叶わないってハッキリ思い知らされた感じがする…。





「そう、なんだ…」




「ねえ、光輝が人のこと覚えられないのって知ってる?」





私は聖羅ちゃんの問いかけに、力なくコクンと頷いた。





「私…ね、藤谷くんの病気のこと知りながら、仲良くなろうと思ってた。
藤谷くんの話し相手になってあげようって。

だけど…もう聖羅ちゃんがいるから、平気だね」





笑えてるかわかんないけど。
それでも、自分なりの精いっぱいの笑顔を見せる。





< 60 / 228 >

この作品をシェア

pagetop