嫌われ者に恋をしました

「昨日は泊めていただいてありがとうございました」

 簡単な朝食を食べ終えた後、身支度を整えて戻った雪菜がそう言った。着替えてしまったのは残念だったが、チュニックにレギンスの雪菜は新鮮で、それはそれでかわいかった。

「泊めていただいて、なんて他人行儀だね」

「でも……」

「いつでも来ていいよ」

 そう言って隼人は昨日のうちに探しておいた鍵を差し出した。鍵を渡したら雪菜を大事に思っていることが伝わるような気がして、どうしても渡したかった。

「これ、うちの鍵」

「え?あの……」

「渡しておくよ」

 雪菜は戸惑っているようだった。

「いいんですか?」

「良くなかったら渡さないよ」

「……はい、ありがとうございます」

「失くすなよ」

「それは、もちろん」

 雪菜がそっと鍵を受け取ったから、隼人は少し安心した。
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