嫌われ者に恋をしました

「お母さんがいなくなった途端、急に空っぽになったみたいで、悲しくて苦しくて……。ずっと寂しかったのに、もっと寂しくなって……。一人きりになって初めて、お母さんが行かないでほしいって言った気持ちがわかったような気がして……」

「だから自分のせいにしたいの?」

「よく、わかりません……。でも、やっぱり私が反抗して言い合いにならなければ、お母さんは死ななかったと思うんです……」

「お母さんの場合は、事故で亡くなったなんて運が悪かったとしか言いようがないし、きっと突然のことに驚いて、雪菜は気持ちの整理がつかなかったんじゃないのかな。もしかしたら、今も気持ちの整理がつかないまま、もやもやしてるんじゃない?
 でも、そうやって自分のせいにしても気持ちの整理はできないし、それがお母さんへの弔いになるとも思わないよ」

「……」

 隼人の主張はなかなか的を得ているような気がした。雪菜にとっては、気持ちの整理がつかないというか、時間が止まったままになっているような感覚だった。

「そういえば雪菜、墓参りとか行ってる?」

 雪菜は首を振って、少し困った表情をした。

「以前は行っていましたが、そこで祖父母に会って……」

「祖父母!?いるの?」

「はい、いるにはいるんですが……」

「何かあったの?」

 雪菜はうつむいて少し言いにくそうにした。
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