嫌われ者に恋をしました

「泣くのがうざいって言うと、隠れて泣くんだよ。ああいう仔ウサギちゃんを締め上げるのは楽しくってさ」

 瀬川はヘラヘラと笑った。

 この鬼畜が!隼人が奥歯を噛み締めて睨みつけると、瀬川は見下すような視線を送った。

「ムカつくだろ?殴らないのか?殴ってもいいんだぜ?」

 挑発か?コイツの目的は何だ?

「そんなバカはしねーよ」

「あっそ、それは残念。今やお前の弱点は雪菜だからな。俺を殴って問題になったら面白かったのに」

「は?」

「お前をイラつかせて楽しんでるんだよ、俺は。ついでにお前が失脚してくれたら最高なんだけどなあ」

「何だよそれ」

「松田……。ムカつくんだよね、お前。最初から出世が約束された弱点のない奴。でもお前、何でもできる割に女にだけは弱いよねえ?」

 悠人にも言われたが、まさかコイツにも言われるとは。

「約束された出世なんてねーよ」

「そういうところがムカつくんだよ」

「自分がうまくいかねーからって俺にあたるな」

「……」

 瀬川は黙って煙草を吸うと、ニヤリと笑って隼人に向けて煙を吐いた。

「お前が挑発に乗らないなら、奥の手を出しちゃおうかな」

「なんだよ、うぜーよお前」

「写真」

「は?」

「雪菜の写真、流出させちゃおうかなあ」

「……!」
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