近未来少年少女

……………………
…………
……


俺は壊れそうな気持ちの中、駄菓子屋の外に出た

そして、店の壁にもたれるように座り込んだ

……………
俺だって……俺だってもう何にも考えたくねーよ


考えても、考えても答えが出ない


でもだからって…………

俺はこの世界で生きていく事を選べない


だって向こうの世界には大切な人が居る

まだ話したい人がたくさん居る………
………
………………………
……………………
…………………

あれ………


話したい人って誰だ……?
大切な人って誰だっけ?


俺はなんでこんなに必死に元の世界に戻りたいんだ?

俺の…俺のおふくろはどんな顔をしてたんだっけ?

どんな声で話すんだっけ?………………………
……………
……えっ……ちょ、待って落ち着け俺

友達は……俺の一番の友達は…………

“フク”…覚えてた………

だけどおふくろの顔や声はぼんやりとしか浮かんでこない



今の俺はこの世界の事で頭がいっぱいで………


この世界から出る為に色々考えて調べて、

結果的に今まであった記憶を自分で薄めていってしまってる事に初めて気付いた

世の中には容量というモノがある

人の脳も同じ、なんでもかんでも詰め込み過ぎると

古いモノから
なくなっていく

記憶も思い出さなければ
だんだん薄れていく


俺はこのショックで、心が完全に打ち砕かれてしまった


もう無理なのかもしれないー………

今まであった記憶もなくなっていくのに、どうやって元からない記憶を思い出すんだよ


もう…………無理だ



< 220 / 599 >

この作品をシェア

pagetop