近未来少年少女


しかも謎はそれだけじゃない

ボールに書いてある文字を見た瞬間、俺の鼓動が大きくなった

それは自分の名前が書いてあった事とあともう一つ

“字”

2年2組 ユウキと書かれた文字、この字は……この字の書き方は……

なんだろ…?

なんなんだろ…この気持ち

ミノルとは違う

このモヤモヤした感じは…………………
………


『……キ?』


『………』


『ユウキ?』


!!

メグの呼び掛けに俺は我に返った

『大丈夫?』

メグが珍しく心配そうな顔をしている

『う、うん…!大丈夫、大丈夫…』と平然と答えた俺だけど……

頭の中では心に引っ掛かってるモノがなんなのか考えるだけで精一杯だった


『そのボールね……』

メグがゆっくりと口を開いた

『そのボール…………
ミノルが持ってたのよ』


ミ、ミノルが………?
なんで俺のボールを……?

メグの顔はどこか寂しげで、まるで昔を思い出すかのような遠い目をしていた


俺はボールを持つ手をギュッとした、それを見たメグが

『ミノルから預かったボールをあんたに返せてよかった』と少しホッとしていた

『……メグ…』


『ユウキがここから出る為じゃなくミノル自身を知りたいと言ってくれた、だからボールを渡そうと思ったの』



“サッカーボール”


今俺の両手に収まってるこのボールにどれだけの意味があって、どれ程の感情が詰まっているのか分からない


だけど俺は少しずつ、ほんの少しずつ………

真実へと近付き始めていた


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