近未来少年少女
………………
………
そんな事を思いながら、俺は黙々と帰る足を早めた
ガチャッ
家のドアを開けて、真っ先にリビングに向かう
見てる人も居ないのに虚しくテレビの音が響いていた
俺はドサッといつものようにランドセルをソファーの上に置き、時計を確認した
【3:45】
『後15分か…』
小さな声で呟いた直後、ドタドタドタ!!と階段を駆け降りてくる音が聞こえ……
ガチャ!とリビングのドアが勢いよく開いた
『あれ?ユウキ帰ってたの?』
顔を見せたのは厚化粧と香水の匂いをプンプンさせたお母さんだった
『うん…!ただいま!』
俺は元気な声で返すが、お母さんの目線はもう別の方に向いていた
お母さんはいつも4時になると家を出る
朝から昼までパートをやって、夜はスナックで働いている
夜の仕事は俺が小学生になると同時に始めた仕事だった
その理由はお父さんの仕事が不景気だとかなんとかで…………
“不景気”最近よく耳にするけど……俺にはまだその言葉の意味がよく分かっていなかった
簡単に言うと“お金が厳しい”とお母さんは教えてくれた
お金が厳しい……?
その意味もよく分からなかった
『じゃぁ…お母さんもう行くね。お父さん6時頃帰ってくると思うから、ご飯は冷蔵庫に……』
『ご飯は冷蔵庫に入ってるからそれをチンして…戸締まりをしっかりする事と知らない人が訪ねて来てもドアを開けない事でしょ?』
お母さんが言い終わる前に俺は言った
『そう、後はもう夕方だから外に出ちゃダメよ』
『うん。分かってるよ』
これも俺にとっていつもの光景、お母さんは決まって毎日同じ事を口にするから
そしてお母さんは家を出て行った