近未来少年少女



【ウツギ総合病院】

公園を囲むように建てられた病院もあの日のまま

俺は三階のミノルの部屋に目を向けた


あの窓からひょっこりと顔を出すあいつの姿が頭に浮かんだ

トントントーンと合図をしたらガラッと窓が開いてそれで……………
…………………

込み上げてくる思いを必死に抑え、俺は公園を出た


公園と病院を繋ぐ秘密の扉、何度も7歳の時に使った扉は使わない

ちゃんと真正面から向き合う


真正面から……………
病院の中に入りたい

………………………
……………

俺は病院の中に入り、真っ先に三階に向かった

もちろんミノルの部屋があった場所へ

部屋の前に着くと心臓がものすごい勢いで動いた


ドクンドクンドクンドクン

………この部屋にミノルは居ないかもしれない

だってもう10年経ったんだから…


で、でも……もし…もし居たら………………

ドクンドクンドクンドクンドクン


俺はゆっくりと汗ばんだ手をドアノブに伸ばした……その時


ガラッ!!

ドアが勝手に開いた


ドキンッ!!!!
本気で心臓が止まるかと思った

な、……なんで勝手に?
俺まだ開けてな……い………………ん?

視線を感じて下を見ると、そこには小さな男の子が一人


『お兄ちゃんそこに居たら邪魔だよ』

ドアを開けたのはこの男の子だったようだ


『あ、ごめんね……って………あれ?』

男の子が病室から出てきたって事は………

俺はそっと開いたドアから病室を覗き込んだ

中を見るとたくさんのベッドがあって小さな子供達が居た



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