あの子の人形



「拓巳が女子の下の名前を呼ぶの初めて聞いた!」


「何々?二人、付き合ってんの?」


みんなが口々に問う。


「えっと……」


私が困っていると、拓巳くんは私の手を握った。


拓巳くんを見ると、にこっと微笑んでくれた。


「大丈夫だよ」って言ってくれているみたいだった。


「そうだよ。僕は杏子と付き合ってる。だから、下の名前で呼んでるんだ。な?杏子」


拓巳くんは優しい笑みを浮かべる。


「うん、拓巳くん……」



< 10 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop