ストロベリー・ラブ
「そうじゃあないんですけど
ここの桜を見たのは
もう8年も前だったんで」

「そりゃ〜
随分、ご無沙汰だったんだね」


ハッハッと笑う、運転手さん。


それに、あたしも微笑み返す。


「お嬢さん
里帰りか、何かかい?」

「いえ。あたしは
この街に、帰って来たんです」


そんな話をして居たら
いつの間か、目的地に着いた。


タクシーの運転手に
支払いを済ませ
ありがとうございました。と
一言言い、タクシーを下りた。


そしてあたしは目の前にある
建物の中へと、歩みを進めた。

< 2 / 54 >

この作品をシェア

pagetop