時雨.
「 お久しぶりですなぁ 原川さん 」
「 あぁ 、そうだな
部屋に移っても良いか」
「 えぇ 、勿論です 」
部屋に移動した2人は
互いに向き合い
襖から外の景色を見ていた。
原川 、という男は
匁夜一 、いや江戸一の男であった。
金もあれば権力もある。
欲しいものはなんでも手に入る
そんな男だった。容姿も悪くない。
そんな男が唯一未だに
手に入れることが出来ないのが
少女ーーー 呉杏であった。