時雨.

≫ 微笑みで魅了 .



部屋に入り 、戸を閉めると
少女は淑やかに座る。

男が口を開く。


「 いや-しっかしまだ14なのにな- 、
立派だなぁ呉杏ちゃんは- 」

「 …お褒めのお言葉 、
有り難く受け取りまして。
改めまして呉杏と申しまいんす。
どうぞ心ゆくまで… 」

今まで何度も何度も言ってきた言葉。
そして 、決して忘れない微笑み。

男はこうして魅了されていった。
呉杏は 、男が自分に想いを
寄せていようが 、応えることはない。
あくまでこれは 、仕事。


次第に外は暗闇に包まれ 、
隣部屋や一階からは絶えぬ喘ぎ声が
聴こえてくる。これこそが 、
少女たちの日常である。

男に抱かれ呉杏は昔のことを
思い耽っていた ー
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