タイムマシン【短編】
「しかし…どこに行ったかわからん。ネズミがいつの時代に行ったのか…」


「過去か未来か…調節がまだ出来ないんでしたっけ?」


「そうなんだよ…。ましてやタイムスリップしたところで、今のネズミが生きているのかさえわからん…」

物を別の次元に送る実験は成功したものの、何年後、何年前に飛ぶという設定がまだ出来ない状態だった。
博士が腕を組み、険しい顔をしてこう言った。


「今のネズミがいつの時代に行ったかわかれば、出力の変更で過去や未来を調節出来たりすると思うんだが…」


博士とその後も研究を続けたが、答えは出なかった。


「せめて、ものが喋れる者が飛んで、過去か未来の私に報告してくれれば…調節が出来るようになるのかもな」

博士が言ったその言葉に、私は迷わずにこう返した。


「私が飛びます」


「柳堀君…?」
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