今夜、きみの手に触れさせて
「えっと……、どこ行くの?」
そう聞いてみる。
「…………」
聞こえなかったのかな? 純太くんは何も答えない。
「どこ行くの?」
もう一度聞いたら、彼はこっちを見ないままつぶやいた。
「ひとりじゃ……行けねーとこ」
「ひとりじゃ行けないところ?」
「うん。青依ちゃん、ついてきてくれる?」
やっぱ前を向いたまま、純太くんは言った。
笑顔は変わりないけれど、今夜の純太くんはなんとなく口が重い。
「う……ん」
戸惑いながらうなずいたけど、純太くんは何か考え事をしているみたいだった。
手を引かれたまま国道沿いに出る。
「あの……、話って?」
「え」
「話したいことがあるって」
黙ったままの純太くんを見あげて聞いた。
「あー、着いてから話す」
「……遠いの?」
「いや」
そう言われると、もう何も聞けなくなった。