【完】恋愛条件


いつか、お互いに離れ離れになって…

違う誰かを好きになって…


この想いも簡単に消えてしまうのだろうか…





―…放課後


朝とは違って帰りはいつも一人。

自転車に乗って門をくぐった時に見覚えのある奴が視界に入った。

目の前で自転車を止めるとそいつは俺に気づいて顔を上げた。



「なーに、やってんだよ。雫」

「淳くん!」


満面の笑みで自転車に乗ったままの俺に飛び付いて来たのは、

静香の妹…雫。



「あのね!今日、シロの誕生日だから家に来ない?!」

「犬に誕生日なんてあんのかよ…」


シロとは静香の家で買ってる雑種の犬。
雫は家族の中で一番にシロを可愛がっていた。



「まぁ、用事ないからいいけど…」

「やったー!さっそく家にゴー!!」

「ちょっ!!おいっ!!」


俺がOKを出すなり、雫は自転車の後ろに跨って乗った。

たく、行動力は一際早いなぁ…



「ほれ、行くぞ」

「わーい!」


後ろでハシャグ雫に注意を促してペダルを漕ぎ始めた。




「…淳、…雫」


遠くで静香が見ていた事も知らずに…


< 124 / 242 >

この作品をシェア

pagetop